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転職して孤独を抱える30代男の暇つぶし投資日記。

<バイオシミラー戦国時代>ヒュミラを巡る攻防

医薬経済社の記事をみていたら、ヒュミラのバイオシミラー(BS)が欧州で発売開始になったことについて触れられていた。せっかくなのでこの際ヒュミラの事を丸裸にしてしまおう。


BSの出現がアッヴィに与える影響については米国株村でも散々議論されてきた。


俺はBSが先発品を駆逐すると考えているので、【悲報】欧州でバイオシミラーが発売されアッヴィ涙目www という煽り記事でも書いてみようと思ったんだが、どうやら事はそう単純でもないようなのでそのことを書いていく。


まずヒュミラ以外の医薬品で有望な薬剤が出てきた。


アッヴィの第1-3四半期決算によると、マヴィレットというC型肝炎治療薬が急伸している。今年出たばかりの新薬だが、第三四半期までで既に26.2億ドルを売り上げており、年間ではなんと36億ドル以上が期待される大型新薬となっている。


ギリアドの従来の治療方法が12週なのに対しマヴィレットは8週で済むという画期的な新薬だ。これによって今までC型肝炎のシェアを独占していたギリアドの製品(ソバルディとハーボニーと思われる)は61%減の29.5億ドルと激減し、シェアを奪われてしまった。


そして、ここからが本日のメイン。


今期のヒュミラの売上はなんと11%アップ!2017年売上高1位の超巨大ブロックバスターがこの成長率とは恐れ入る。


だが、安心するのは早計である。


とうとう今年10月16日から欧州でヒュミラのバイオシミラーの販売が始まったのだ。


しかも5社から。5社から・・・!まさに群雄割拠である。


1.欧州で発売開始


5社の内訳をみてみよう。


①アムジェン
②ベーリンガーインゲルハイム
③サムスンバイオエピス/バイオジェン
④サンド
⑤マイラン/協和キリン富士フイルムバイオロジクス


これは価格競争が激化しそうですねぇ。。。


アッヴィは第二四半期決算において、米国以外のヒュミラの売上げが2019年までに20%以上下がらないだろうと予測していた。


が、発売開始後の売れ行きを受け、今回の決算では想下げ幅を26~27%まで拡大した。


2.欧州での値引き合戦


EU加盟国での医薬品の承認は一括してEMA(欧州医薬品庁)により行われるが、販売価格に関してはEU各国の医療制度によって変わってくる。


地域によっては、先発品のアッヴィが最大80%の値引きをしているケースもあるという。つまりBSは非常に安い価格帯で勝負しなければならない。


しかも、最も安い製品しか採用されないような国もあるため、そういった地域で価格競争はさらに熾烈になる。


まぁこれは極端な例だが、欧州でのヒュミラの値引きは10~80%の幅広い範囲で実施されるとみられる。


3.アッヴィのBS対策


実は先発品の足かせに見える値引きが、そのまんまBS対策になりうる。


BSは研究開発費にかかる費用を大幅に削減できることから、非常に安いコストで製造可能で、それ故に安い薬価を実現している。この安さが先発品とのシェア争いに勝つための唯一の武器なのであるが、先発品の薬価が下がるとその優位性がなくなってしまう。


さらに品質に関しても、先発品との同等性が基準になっている以上、そもそもの話としてBSに勝ち目はない。


こうした状況を踏まえ、アッヴィは各国の医療制度のもと戦略的に価格を引き下げ、BSの参入を阻止することができる(実際にそういった動きもあるとかないとか)。


バイオ後発品メーカーとしてはある程度先発品の価格が高い必要があるのだ。


4.医師たちの懸念


いまだに推進派と慎重派で意見が分かれているようだ。


特に議論されているのがロット間差だ。


バイオ医薬品は分子構造を均質にすることが極めて難しいため(てか現実的に無理)、基本的には似たような構造の混ざりものになる。そのため、ロットごとにこれらの比率が微妙に変わってくるのだ。


もちろんロット間差については承認申請時に膨大なデータを提出して問題ないことになっているが、そもそも製造実績が先発品と比べて圧倒的に少ないため、それ自体がリスクとして認識されてしまうのである。


有害事象が起きた時の訴訟リスクも考えれば「だったら実績のある先発品を使おう」となるわけだ。


個人的にはエイヤで使ってしまえばいいのにと思うが無責任すぎるだろうか。


とはいえ各国からの薬価下げ圧力は半端ないため医療制度の改定等、行政側の対応が待たれるところだ。


5.今後のBS市場


今後のBS市場を占う上で、今回のヒュミラBS騒動は重要な節目を迎えている。


①比較的BSに寛容な欧州で発売された
②長らく先発品企業を保護してきた米国がBS普及のアクションプランをぶち上げた
③新興国への進出はこれから(南米、アジア、アフリカ、中東等)


正直どうなるのかわからんが、BSを取り巻く環境は刻々と変化している。ちょっとでも目を離すと取り残されちゃうね。個別株をやるならこの辺の動向をこまめにチェックする必要があり、難易度も高そうだ。


とはいえ結局のところ医薬品の市場規模は伸びていくのだから、このセクターに投資しない手はない。個別銘柄の選定に自信のない投資家はおとなしくVHTでも買えばよいだろう。多少リスクをとれるならIBBもいいかもね。


俺は断然AMGNを推すけど。


厚生労働省からバイオ医薬品とバイオシミラーについて懇切丁寧な説明資料が公開されていたので興味のある人は見てみるといいよ。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000371617.pdf

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