【BIIB】バイオジェンが急落
バイオジェンがアルツハイマー型認知症の治療薬として期待されていたAducanumabの臨床試験を中止すると発表しました。
まさにナイアガラというべき下落っぷりです。
私はホルダーではないですが、今回の下落に関しては少々複雑な感情を抱いています。
実は私、大学ではこの辺の研究に心血を注いでいたんですよね。
バイオジェンが開発していたAducanumabは、脳内に蓄積したアミロイドβタンパク質(分子量的にはペプチドとも言える)が神経毒性を発揮し、脳細胞を死に至らしめるといういわゆる「アミロイド仮説」に基づいた分子標的薬です。
以下の文章は10年くらい前の知識をもとに書いているので間違っている可能性もありますがその辺は勘弁していただきたい。
まず初めに、アルツハイマー型認知症の原因は完全に特定されていません。
原因については諸説あります。
「アミロイド仮説」というのも、その諸説の一つではありましたが、おそらく最有力候補というか、その界隈の研究では一番勢力があったように思います。この仮説を支持する研究者はアミロイダーなんて呼ばれてました。
そして私が研究していたのはこの「アミロイド仮説」に真っ向から反論するものでした。私も本当はアミロイダーになりたかった
少なくとも当時は、アミロイドβの蓄積がアルツハイマー型認知症の原因であるのか、それとも結果でしかないのか、それすら判明していなかったんです。
例えばアミロイドの蓄積量と臨床的な重症度に相関がみられないデータが発表されていたり、仮説を証明するための根拠が乏しい印象はありました。
よく先輩とこの辺の議論でケンカになったことを覚えています。
先輩「アミロイド仮説は証明されつつある。君の研究は徒労に終わるよ。はっはっは。」
私「このクソアミロイダーがッ!!(私もアミロイダーになりたかったのに!)」
あの先輩は今頃どうしているかな。
話をもどして。。。
だからバイオジェンがAducanumabの開発をしていると知った時は「とうとうアミロイド仮説が証明されたのか!」と感心するとともに、あの先輩の姿を重ね「やっぱり貴方の考えは正しかった。俺が間違っていたよ。」と天を仰いだものです。
でも実はまだ「仮説」のままだったんだなと今回の株価下落で気づくことになってしまいました(ズコー)
今回の事例は、原因が判明していないものに解決策を提示するという、製薬会社としてはあまりにもお粗末な経営方針が露呈されたいい例だでしょう。
きっとバイオジェンの中でも疑問を持っている研究者はいたんでしょうね。でも急進的な人物が上層部にいて、強行した結果盛大に失敗するという、有りがちでベタベタな展開があったんじゃないかと邪推しています。
でもなんかなぁ、、、
アルツハイマー型認知症はまだまだ満たされていない治療領域だから、画期的な新薬が出ることを願っていたんですけども、、、将来世話になるかもしれないし。
共同開発してたエーザイの株価どうなるんでしょか(ハナホジ)