【BIIB】今は買いではないと思う理由
前回の記事でバイオジェンの暴落について書きました。
今回はしばらくBiogen株は買いではないと思う理由を書いてみます。
事の発端は抗アミロイドβモノクローナル抗体 Aducanumabの臨床試験失敗にあります。
Aducanumabの効果は、アミロイドβというタンパク質が異常な構造をとり、脳の神経細胞内に蓄積することでアルツハイマー型認知症を発症するという「アミロイド仮説」が根拠となっています。
で、Biogenのパイプラインを見てみると結構ヤバそうな事実に気づきました。
まず一つ目。
同じくアミロイドβを標的とするBAN2401がフェーズ2に控えていること。
作用機序は異常型アミロイドβに結合しこれを除去するもので、これだけ見ればAducanumabと同様の結果が待っている可能性があります。
おそらくだが今回の失敗でこちらの品目も開発計画を見直す必要が出てきそうです。
そして二つ目。
2018年にNew EntryとなったBIIB092、BIIB076はtauタンパク質を標的としたモノクローナル抗体にも暗雲が立ち込めているのではないかという個人的な推測です。
実はtauタンパク質も異常な構造をとり、脳細胞に蓄積、毒性を発揮するであろうという点で「アミロイド仮説」とメカニズムが似ています。
実際、その以上構造は大きい枠で言うと同等の構造であることが実験的に証明されています。
ただし、アミロイドβと異なる点も多々あり、例えば認知症の進行度と異常型tauの蓄積量に相関がみられ、こうした点がtauを支持する研究者たちからのアミロイド仮説に対する反論として度々槍玉にあげられます。
そして三つ目。
パーキンソン病を対象としたパイプラインにも目をやってみていただきたい。
ここにも抗tau抗体が登場します。
さらに抗α-シヌクレイン抗体という薬剤にも注目です。
これもまた、α-シヌクレインというタンパク質が異常な構造をとり、神経細胞に毒性をもたらすことで神経細胞死が引き起こされるという、アミロイドβやtau毒性と似たような理論をもとにしています。
結論
何が言いたいのかというと、Biogenのパイプラインには、異常型タンパク質の蓄積が神経細胞死をもたらすことを前提とした薬剤が多すぎるということ。さらにこれらがコア成長領域とされていることも今は非常にマイナスです。
仮にこの辺の理論がひっくり返ると、Biogenはコアとするパイプラインの多くを失うこととなり、それまで蓄積してきたデータやそれに基づく知見、経験を有効活用できないという副次的な被害を被るかもしれません。
そんなわけで、いくら割安に見えようが今Biogenを買うことは全くもってお勧めできないです。
ただし、本記事で書いた内容は私の独断と偏見に満ちた内容であり、事実と異なる可能性があります。さらに今回の治験失敗がアミロイド仮説を否定するわけではないことも念のため付け加えておきます。
一方で、、、
株価というのはよくわからんテキトーな思惑で爆上げしたり爆下げしたり、正直俺の理解の範疇を超えた動きをするもんだから、逆に上がる可能性だってあります。
身も蓋もないですが、それでも上がると信じられる人は買えばいいでしょう。
私は絶対手を出さないですけどね!